『伴奏の芸術』ドイツ・リートの魅力

ドイチュ先生ご一家と
ドイチュ先生ご一家と

 

 

 

 

 

4月に入ってから、雑誌の取材を兼ねてのミニ・リサイタル(関係者のみの非公開でしたので、お知らせ致しませんでした)、そしてシャネルの公演で歌わせて頂きました。雑誌のほうは夏頃に掲載されるそうですので、また近くなりましたらお知らせさせて頂きます。

 

 

シャネルの公演では、裏のテーマを“ドイツ・ミュンヘン”と名づけて、リヒャルト・シュトラウスの作品をご紹介しました(シュトラウスはミュンヘン出身です)。また、私のミュンヘン音楽大学時代の同級生でもある、越知晴子さんにピアノを弾いて頂きました。私たちは、ヘルムート・ドイチュ先生(言わずと知れた、世界的ピアニストで鮫島有美子さんの旦那様)の歌曲のクラスで勉強をしました。そうそう、実は、お馴染みのピアニスト・丸山滋さんも、ドイチュ先生門下の先輩にあたられます。

 

日本ではまだ、ドイツ歌曲を専門に勉強することが“当たり前”ではないのか、歌い手である私が、ピアニストの先生に習うことについて、“どうして?”と聞かれることがよくあります。それについて明確な答えというのはないような気が致しますが、例えばドイツの音楽大学でドイツ歌曲のクラスを担当されている先生方の殆どが、ピアニストであるように思います。

 

歌曲の世界では、特に舞台の上で、歌手とピアニストの立場・重要性は同等です。歌手の一方的な音楽の我侭は通用しませんし、ピアニストが“伴奏”ということで、なにかを遠慮をすることはありません。 また歌曲の場合は、作曲者がはじめから“声とピアノ”のために書いている訳ですから、どちらも“主役”なのです。

 

たった一声の旋律を歌うだけの歌手に対して、パートナーであるピアニストは、オーケストラに当たるような音の大部分を担い、ハーモニーを生み出します。そういった意味で、ピアニストには、指揮者のように、アンサンブル演奏をコントロールしてゆく役目もあるのです。

 

私は新しい作品に取り組むとき、歌のパートはもちろんですが、ピアノ伴奏パートの強弱、フレーズ、楽譜に記入されているさまざまな指示を読みます。息を吸う場所も、すべて伴奏パートとの都合を考えながら決めてゆきます。

 

ですから、必然的にピアニストのお稽古がとっても重要になってきます。お互いの解釈を意見交換しながら、一つの作品を作り上げてゆく、共同作業なのです。ただ立場が同等とはいっても、例えば丸山滋さんのように、明らかに私より経験が豊富な方との場合は、色々な情報をお持ちですし、やはりアドヴァイスを頂くことのほうが多くもあります。

 

ヘルムート・ドイチュ先生は『伴奏の芸術』というご本を出版されています。その中のお言葉を、一部ご紹介させて頂きます。

 

 

私は伴奏者である。

自らを歌曲という分野に限ってしまった不可思議な音楽家の一人。

でもこの仕事を最も素晴らしく、価値のあるものだと信じて誇りにも思っている。

歌曲への“大きな愛”がゆえに選んだこの道は、

ソロピアニストとは違っても決して容易ではない。

「世界で一番素晴らしい仕事」そんな伴奏者の仕事の一端をこの本に記してみた。

 

 

先生は“歌曲という分野に限ってしまった”と仰られていますね。歌手の場合はなかなか、歌曲だけを歌って生計を立てていくことが難しい、という現実もあってか、やはりオペラなど様々なものと同時進行していることが多いです。そして、歌手に比べて“伴奏”をお仕事にされている方のほうが、絶対的な人数が少ないですし、しかもその中で“歌曲という分野に限ってしまった”方たちがいる訳ですから、彼らは歌手よりも歌曲に触れている時間が長く、経験も多いといえると思います。そんな事情から、歌曲専門の先生にピアニストが多いことにも、ご納得頂けるかと思います。

 

『伴奏の芸術』には、沢山の写真と共に、普段のお稽古のことからコンサート当日のこと、そして様々な歌手たちとのお付き合いについてなど、ドイチュ先生のご意見が、ユーモアを交えながら記されています。また巻末には楽譜を使っての演奏解釈もあり、私が大切にしている本の一冊です。

 

ミュンヘン音楽大学時代、やはり歌曲に興味を持っていた友人らに、この本の一部を慣れないドイツ語で紹介したりしていました。もともとドイチュ先生は、本文をドイツ語でお書きになって、それを奥様の鮫島有美子さんが日本語に訳されたのですから、ドイツ語のものも作って頂きたいなぁ・・・!

 

このご本、書店では販売していないそうです。もしご興味がおありの方がいらしたら、下記にお問い合わせください。

 

 

『伴奏の芸術』ドイツ・リートの魅力

 ヘルムート・ドイチュ:著

      鮫島有美子:訳

 定価 3,500円(税込)

 

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17.04.2010, 横浜